少し前にNHKディレクターさんから、ひきこもり当事者や経験者らと行うワークショップ企画のご相談を頂きました。番組作りの中で、ひきこもり当事者をはじめとする視聴者の声を募集した際の投稿の中に、「○○するべき」というような社会からの抑圧による生きづらさの体験談が多く寄せられたそうです。
今年はじめに、僕はひきこもり当事者Tさんと対面する対話型の共同作品を作りました。展示会場に作品を観に来てくれた多くの当事者からは軒並み、"幼少期からの経験を振り返ってみて、必要な怒りの発露や抵抗をきちんと表現する機会が少なかった"というような感想を貰いました。
今回のワークショップでは、アートが孤立者にとっての居場所になり、対話の関係性を作る。作品制作の中で抑圧的な社会への怒りや抵抗の表明としての生産的破壊、そして"金継ぎ"的思考によって再構築されたこれからの社会や自己認知について共に考える機会を作りたいと考えました。 準備期間がかなりタイトで段取りに不安もあったり、担当者との齟齬もいくつかあって僕自身なかなか追い込まれた案件でしたが、放送には期待をしたいです。 何よりワークショップ当日、緊張の様子を見せながらも参加してくれた当事者/経験者らが、終わる頃には表情が柔らかにリラックスをし、様々な意見や感想を話してくれていた事がとても嬉しかったです。
_____________________________________
▶︎「クローズアップ現代+|夏スペシャル:解決のヒントは?"老後のおかね"と"ひきこもり"」 https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4318/index.html
8月8日(木)夜7:30-8:43
※今回の特別番組は「老後のお金」と「ひきこもり」の2つのテーマの放送。
渡辺は自身企画のワークショップのシーンのみ出演。
______________________________________
以下はワークショップでご協力頂いた方々。ありがとうございました。
制作アシスタント:市村香織、鈴木葉月、平田絵美子、宮村のどか
会場:BankART Station
ワークショップ参加者:番組の募集に対しメッセージを送ったひきこもり当事者/経験者の方など
_______________________________________
番組制作の背景はこちらの記事でも読む事ができます。
▶︎とり憑かれてませんか? “べきおばけ”( NHK NEWS WEB)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190729/k10012012961000.html
画像はNHKウェブサイトより